おはようございます。
傷病手当金は健康保険による、労務不能中の収入低下を一定程度補填する給付制度です。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3040/r139/
健康保険加入者が、怪我や病気(労災、通勤労災を除く)で労務不能となり、
連続3日を超えて労務不能となった場合に、連続3日の労務不能日の翌日(4日目)から
給与の概ね2/3の金額(*1)が手当として健康保険から支給される制度です。
① 傷病手当金には支給期間が定められています。
2)これまでは、同一傷病での労務不能の場合、
4日目の支給開始日から1年6ヶ月”経過”するまでの期間が
支給期間とされていました。
例えば、病気で労務不能となり3ヶ月間手当を受給した。
その後、病気は治り半年間(6ヶ月)職場復帰した。(6ヶ月間手当の支給を受けなかった)
その後、同じ病気が再発し1年間休職することとなった。
この場合、途中で職場復帰していた6ヶ月間も手当の支給期間とされ、
傷病手当金の支給は最初に受け取った日から1年6ヶ月を経過した日、
再発休職期間の途中で支給が打ち切られます。(3ヶ月+6ヶ月+9ヶ月=1年6ヶ月)
休職中の最後の3ヶ月の収入喪失を補填できないこととなります。
2)令和4年1月1日(今年の1月1日)からは同一傷病に対する傷病手当の支給期間が、
”通算”1年6ヶ月に変わります。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22308.html
上の例では、支給を受けなかった6ヶ月は”通算”期間にカウントされなくなります。
3ヶ月+12ヶ月=15ヶ月で、再発後の休職期間中も手当の支給を受けることができます。
なお、労務不能の原因が同じ病気(同一傷病)によるものかどうかは保険者が判断するとされています。
3)経過措置
今回の手当の支給期間の通算化は、法改正が行われた令和2年(2020年)7月2日以降
支給を開始した傷病手当金にも適用するとされています。
例えば、メンタル疾病で2020年8月から年末まで5ヶ月間休職し手当を受給、
2021年1月から復職、休職前の給与を受けとり、手当を受給せず就労。
2021年の9月に同一疾病が再発、10月には重症化し労務不能となり再び休職。
この場合、2020年8月から2022年1月で1年6ヶ月が経過しますが、
通算では、5ヶ月(2020年8月から12月)+3ヶ月(2021年10月から12月)=8ヶ月ですので、
本年1月以後も8ヶ月分は手当を受給することができます。
以下、少し注意が必要です。
4)傷病手当金が一部支給されていた期間は、通算支給期間に通算されます。
給与、障害年金、出産手当金などが支給され傷病手当が全く支給されなかった期間は、
傷病手当支給期間に通算されません。
一方、給与、障害年金、出産手当金などが支給されたが、その額が傷病手当の額
(給与の2/3)よりも少なかったので、傷病手当金の一部を受給した。
この場合には、通算支給期間に通算されますので、注意が必要です。
5)退職などによる資格喪失後の傷病手当については、上記にかかわらず、
初めて支給を受けた日から1年6ヶ月を経過した時点で手当の支給は打ち切られます。
この点も注意が必要です。
(*1)正確には、支給開始日以前の12月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30×2/3が1日の手当の額