先日、千葉市の定額給付金の支給遅れの検証についての報道がされていました。
とても興味深い事例として勉強させていただきました。
丁寧に検証し、公表していただいた千葉市の担当者の方に感謝いたします。
本事例では川上でネック工程が発生し、それが全体の給付の遅れをもたらしています。
申請事務センターの本格稼働直後、想定を遥かに超える市民からの申請書類が到着しました。
その結果、封筒の開封、申請書類の読み取り作業という最初の工程がネック工程化しました。
ネック工程が発生したことで、審査件数は目標8万件を大きく下回る2万件に制約されました。
時間の延長、休日対応、増員によりネック工程を解消しています。それにより、審査件数は8万人へと拡大しました。
増員数は当初の90名から最大250名と大幅なものとなりました。
これは固定費の増大、時間外労働の発生よる総人件費の上昇につながります。
市民が受け取る給付金総額を売り上げとすれば、その総額は変わりませんので、労働生産性が大きく低下しています。
増員とは別に審査用端末を70台から98台に増設しています。
増設により、審査対応件数は12万件まで増加し、支給の遅れが解消しました。
これは設備投資の有効性が確認できます。
増員についてはその意思決定の遅れが問題を悪化させたとしています。
本来すぐにすべきであった増員が遅れた原因は、効率向上による処理件数の増加を期待したことによるとしています。
これも、陥りがちな経営者のミスとして身につまされます。
市民への申請書類発送の遅れについても問題であったとしています。
審査業務が6月初旬にスタートすることから、その直前に市民に申請書類が届くように事前段取りを組んでいます。
結果、実際の審査開始時に書類が殺到し、開封作業がその時点で初めてネック工程といして顕在化しています。
開封作業を、申請開始前に分散することができれば、開封作業のネック化を回避できたとしています。
言うまでもなく、根本的にデジタル申請にすれば、ネックは解消します。
根本的解決以外にも学ぶべきことが多い事例です。
損をしたのは誰か、審査にかかる追加コストを負担し、かつ、給付金の受領が遅れた市民です。
とても勉強になる事例でした。