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    月間社労士という社労士の会報があります。

    そちらの最新号に首藤先生が投稿なされており、

    その内容に感銘を受けましたのでご紹介したく思います。


    「女性活躍」を阻むもの ー東京医科大学の女子差別問題を手がかりにー

    月間社労士 2018.9  P58-P59

     

    先生は東京女子医科大学の受験にかかる女性差別を例に

    何が「女性活躍」を阻んでいるのかをご説明なさっています。

    私も以下のように考えていた節があります。

    医療の現場は時間帯など極めて不規則かつ緊急性を要する職場であり、

    結婚やご出産などで一時的に規則的かつ短時間の勤務形態が必要な女性の離職率は高くなる。

    結果、医師の人数不足や短時間勤務期間中の他の医師への過剰な負担など悪循環が生まれる。

    そのような背景から男性をより多く育成、雇用しようという考えが生まれても致し方ない。

    先生はこのような考え方を統計的差別理論としてご説明なさっています。

    1)情報の非対称性

    医療(雇用主)は医師(社員)の定着を望み、短期で辞めてしまう人の採用を避けたいと考えています。

    一方、女性、男性を問わず結婚や出産を含む様々な理由から、短期間で辞めることを

    望む人もいれば、望まない人もいます。

    ただ、一人一人の採用候補者に対して、長期間務めたいと計画しているのか、

    それとも短期間で辞めることを計画しているのかを確実に把握することは多くの手間暇がかかります。

    このような雇用主と入社希望者との情報の非対称性がとりわけ採用場面では顕著になります。

    2)雇用主の対応

    このような情報の非対称性が存在する場合に選ぶ側が取る行動は

    採用にあたり過去の統計データを拠り所とすることです。

    例えば、過去の統計では男性よりも女性の方が短い年数で退職する割合が高い。

    であれば、男性を採用した方が長く勤めていただくことができる。

    このように合理的に行動した結果、その行動が差別につながることがあります。

    このようなプロセスを説明したのが統計的差別理論であるとご説明なさっています。

    また、このような合理性を補強するものとして

    統計に基づかなくても実際にそうだ。目の前で起きていることを見れば、その通りだ。

    というような職場の事実があります。

    3)職場の現実、統計の背景は

    ただ、そのことを少し掘り下げて考えると見え方が変わってきます。

    なぜ、女性は早く辞めてしまうのだろう?

    なぜ、女性の管理職は少ないのだろう?

    なぜ、この部署や職務に就く女性は少ないのだろう?

    それは、働く女性の意志によるものなのか、職場が作り出しているものなのか?

    統計的差別理論は採用の場面だけでなく、働く職場環境にも根付くものであるとご説明なさっています。

    長く勤め管理職になる。この部署で働く。

    そのような強い意志をもって入社した女性がどのような環境におかれるのか。

    職場を作り出している関係者の中には

    「女性は長く働かない」

    「どうせ女性にはこの職場は無理」というような暗黙の意思があるのではないか。

    その結果、強い意志を持って入社した女性は働く中で明確ではないけれども

    どこか理不尽と思える処遇を少しずつ受け続ける。

    そのような理不尽な処遇は女性への思いやりや配慮といった善意に包まれいることもある。

    ただ、結果として同じ意志、同じ能力をもった男女の中で昇進などでの差が生じる。

    そのような事実を繰り返し経験することでその女性は徐々に意欲を失っていき、

    結果その仕事を結婚や出産などのライフイベントを境に諦めてしまう。

    そして、彼女を雇用した企業は、「あれだけやる気があると言っていたので、やはりそうか。」と

    現実は合理的なものとしてより強固に根付いていく。

    そのような連鎖があるのではないかと指摘なさっています。

    私自身、思い当たることがあります。

    何人もの優秀な女性が辞めていくときに、「残念だ、環境を変えなければ」と思う一方、

    「言っていたことと、行動が違う。」「途中で放り出すなんて無責任」

    その頭に「やはり女性は」という言葉をつけていたように思います。

    変えるべきは自らの考えた方です。

    素晴らしい論稿に出会えたことに本当に感謝いたします。

    首藤若菜先生の書籍

     

     

     

     

     



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