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    定年後に再雇用した社員への手当の支給について

    正社員(定年前)と異なる扱いをすることは許されるのでしょうか。

    経営者の立場からすると、定年後は現役時代とは役割責任も違うし、

    人件費を調整する必要もあるので異なる扱いは当然許されるだろう。

    そのように考えることが通例かと思います。

    ただ、一方で正社員と非正規社員との同一労働同一賃金ということも言われているし、

    今の法律でどこまで許されるのか?と判断に迷うところではあります。

    法律ということであれば、異なる手当の支給についての判断基準として

    労働契約法20条が定められています。

    また、それに関わる裁判事例で具体的な判断も示されています。

    ① 労働契約法20条

    条文を確認します。

    ーーーーーーーーーーー

    有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、

    期間の定めがあることにより

    同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の

    労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、

    当該労働条件の相違は、

    労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度

    (以下この条において「職務の内容」という。)、

    当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、

    不合理と認められるものであってはならない

    ーーーーーーーーーーー

    確認できることは、

    1)有期契約社員(定年後再雇用者が65歳までの有期契約である場合など)と

    正社員などの無期契約社員と間で労働条件が異なることは認められている。

    相違があることを前提となっている

    2)ただし、その違いは以下の3点から不合理でないことが求められています。

    ❶業務内容と責任の程度

    ❷「業務内容や責任の程度の」変更の程度、「業務の配置の」変更の程度

    これは私だけなのかもしれませんが、

    条文だけを読むと❶も❷も同じことのように思えますが、

    仕事や配置が変わるか?変わる程度に差があるか?ということです。

    ❸その他の事情

    ここでの注意点ですが、「不合理でない」と「合理的である」とはイコールではないことです。

    合理的であることは求められていません。

    ここでの不合理とは世間一般から見て「それはあんまりだよねー、ひどいよねー」というもので

    不合理でないとは「なんとなく釈然としないけれど、まあ仕方がないか」といった収まり具合を指します。

    3)定年後の再雇用の場合には上の❶❷について様々な組み合わせがあるかと思います。

    ー 正社員と業務内容、責任の程度は同じ、業務内の変更もあるし、配置の変更もある。

    少ないとは思いますが、実際にそのように処遇しているのであれば、

    基本的には職務給など、賃金を含め労働条件は同じということになります。

    ただし、上記には❸その他の事情が挙げられています。

    その他に事情には、例えば今回の定年後の再雇用があります。

    定年年齢は本来企業がが自由に定めるものですが、法により再雇用や65歳までの雇用延長が

    義務付けられています。

    また、60歳以降、生年月日によりますが、特別支給の老齢厚生年金が支給される方もいらっしゃいます。

    そのような事情を考慮して、不合理でない範囲で❶❷が同じであっても、

    賃金について差をつけて良いとされています。

    また、定年後社員向けの給与規定を定める際に労働者の代表者の方と丁寧な話し合いを行ったか?なども

    その差異が不合理であるか否かを判断する際の判断材料とされます。

    実際には以下のような処遇としていることが多いかと思います。

    ー 正社員と業務内容は同じだけれど、責任の程度が異なる。

    ー 正社員と業務内容や責任の程度は同じだけれど、業務内容の変更はない。

    ー 正社員と業務内容、責任の程度が異なり、業務内容や配置の変更もない。

    「業務も配置転換も違うのだから、給料も手当も違って当たり前」

    ここtまでは適切なのですが、このような場合は給料や手当の違いが、

    業務の違いや配置転換の違いに見合っているかどうかがポイントになります。

    見合っていれば問題ありませんし、見合っていない場合であっても

    その程度が世間一般から見て、極端で理不尽でないことが求められます。

    条件が同じであれば、待遇も同じである。

    このような考え方を均等待遇。

    条件が異なっている場合は、待遇が違っていて構わないが、

    ただ、その違いの程度に見合った待遇をする。

    このような考え方が均衡待遇です。

    同一労働同一賃金の中で求められているのは二つを組み合わせた均等均衡待遇です。

    ② 手当の不合理性

    多くの企業の給与は基本給と手当で構成されているかと思います。

    手当は時間外労働に対する割増賃金である時間外手当(残業手当)や

    通勤にかかる費用を会社が負担する通勤手当、

    配偶者やお子さんの扶養を補助する家族手当などさまざまかと思います。

    また、営業職に支給する営業手当などもあるかと思います。

    手当は大きく以下のように分けて考えることができます。

    1)法によりその支給が求められているもの:時間外手当、深夜業手当など

    2)職務と直接つながっているもの:営業手当、特殊作業手当、係長手当など

    3)いずれにも属さないもの:通勤手当、家族手当など

    1)については雇用形態がどうであれ支払わなければ違法ですから、

    不合理か否かということは問題になりません。

    2)については少し問題が起こります。

    2)の手当の場合、職務に繋がっていますので、その職務を行う方に対しては

    その雇用形態にかかわらず手当自体を支払わないといこと不合理であると考えられます。

    ただ、手当の金額についてはその職務に携わる時間の違いなど根拠があれば異なることは

    不合理ではないと考えられます。

    支払いの有無など点検をいただければと思います。

    3)については、職務に繋がっていないのですから、

    本来は雇用形態に関わらずその手当が支払われるべきである。

    そう考えると、雇用形態によりその支払いの有無があることは不合理であるように思えます。

    このような手当については、支給の有無があれば一律に不合理であるとはせず、

    その手当を支払う目的、その手当の性質などから個々の手当について個別に評価をし

    不合理であるか否かを判断するとしています。

    その違いについての説明責任も厳格化されて行きますので、

    一度御社の各種手当を

    そもそもこの手当は何のために支給しているのか。

    この手当はどのような性質をもつものなのか。

    雇用形態の違いにより、支給の有無を説明できるか。

    という点から点検されることをお勧めします。

    ③ 不合理な手当の是正についての注意点

    手当を点検した結果、以下のようなことがわかりました。

    A手当は目的が不明確でB手当とも重複している。

    C手当は雇用形態の違いによる支給の有無が説明できない。

    このような場合、

    A手当の支給をやめても良いのか。

    C手当を今の金額のままで全社員に支給するのは大変だから一律金額を下げても良いのか。

    というとすぐにやめることはできませんし、すぐに減額することもできません。

    手当の廃止や減額は、現在その支給を受けている社員の方への不利益変更になりますので

    労働者の代表者の方と話し合いをした上で、相当程度の期間をかけて減額、廃止していく

    ことが求められています。

    ーーーーーーーー

    以上、手当の不合理性についてご説明致しました。

    先日成立した働き方改革関連法では均等均衡待遇の実施が

    今よりも強く要求されることになります。

    諸手当の点検と整理整頓を少しずつでも進めていただければと思います。

     



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