シェアリングエコノミーの背景 スマートホンの普及、SNSの拡がり
シェアリングエコノミーのキーワードはサービスのマッチングです。
サービスは必要なタイミングで必要な場所でリーズナブルな価格で提供されることが理想です。
提供者にとっても実施可能な時間や場所で対価を得てサービスを提供できることは魅力的です。
これまでその実現はとても困難でした。
事業者によるサービスを利用する場合、例えばレンタカーやタクシーを利用するためには
レンターカー会社に赴むくことや路上を通るタクシーを待つことなどが必要でした。
場所的制約だけでなく、サービスが必要な時間と実際に利用する時間とのズレも必然的に発生します。
事業者ではなく個人からサービスを受ける場合、その個人は家族や友人に限られており、
見知らぬ誰かにサービスを依頼することはまずありません。
( uberのサービス利用者が以前にヒッチハイクを利用したことはほぼ無いと報告されています。)
個人がサービスを提供するにしても、
家族や知り合い以外の赤の他人からお金をもらってサービスを提供することはまずありません。
それを可能にしたのはスマートフォンやFacebook等に代表されるSNSの普及です。
スマートフォンにより個人がいつどこにいてもインターネットにアクセスできる環境が整いました。
スマートフォンで交換される情報も文字情報だけでなく
鮮明な画像や位置情報など多様で豊かなものとなりました。
お金の決済も簡単にできるようになりました。
実名利用を前提とするSNSは見知らぬ不特定多数の人の顔を見えるようにしました。
利用者同士のネットワークづくりが促進され、
ネットワークの拡大により多くの人がSNSを利用することで
文字や画像などの情報の交換に止まらず、
ヒト・モノ・カネといった多様な資源を交換するプラットホームとしての可能性が広がりました。
双方向性や透明性も高く、サービスの品質、価格、
その評価などを提供者と利用者が相互に発信し確認することもできます。
SNSの特性を持ち、その目的を絞ったマッチングプラットフォームがスマートフォン上で提供されることで、
1)個人が所有する資産や能力を、いつどこでどのように利用できるのかといった情報を
どこにいてもリアルタイムで不特定多数の個人が共有し、その資産や能力を利用できるようになりました。
2) 個人の匿名性が低下し、特定された個人の信用度や特定個人が提供するサービスの安全性
利用者、提供者双方の満足度が見えるようになり、利用者が人やサービスを選別できるようになりました。
シェアリングエコノミーは助け合いの経済ではなく、金銭的対価を前提とするものです。
近年のアセットライト(資産を持たない)なライフスタイルを好ましいものとする
環境意識の高まりもその背景にあることは否定できません。
ただ、人々の助け合いの意識が突然高まったということではなく、
不特定多数個人間の経済的対価を伴うサービス取引を可能とするレベルまで
個人が持つICTの能力、及び利用者のリタラシーが高まったことがその背景とされています。