② シェアリングエコノミーの定義
シェアリングエコノミーを一言で表す定義はありませんが、
2016年11月内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室によるシェアエリングエコノミー検討会議は
「シェアリングエコノミーとは、個人等が保有する活用可能な資源等(スキルや時間等の無形のものを含む。)を、
インターネット上のマッチングプラットフォームを介して他の個人等も利用可能とする経済活性化活動」
以上のように簡潔に定義しています。
③ 定義から見たシェアリングエコノミーの特徴
上記の定義と照らしてシェアリングエコノミーの特徴、従来の経済モデルとの違いを確認します。
1)不特定多数の個人(ただし、匿名ではありません)がサービスの提供者となること
特定の企業がサービスを提供している従来のモデルとは異なります。
2)個人が持つ既存資源(遊休資産や余剰時間)の活用を効率的に行うものであること
本業としてサービスを提供する目的で企業が資本を投下し資源を整備するモデルとは異なります。
3)インターネット上のマッチングプラットフォームを前提とすること
1)2)の特徴から、従来のモデルとは異なるシェアリングエコノミーの特徴的な姿が見えて来ます。
従来のモデル(以下:保有モデル)では企業はヒト、モノ、カネといった多様な経営資源を自社に保有・集約し、
一定の規模で加工し、製品・サービスのパッケージを生み出しています。
パッケージ化された製品・サービスは様々な流通を経て不特定多数の個人に届けられます。
分散している資源が一度集約され、形を変えて分散される砂時計のモデルです。
シェアリングエコノミーでは、不特定多数個人が持つ多様な資源は
マッチングプラットフォーム上で集約加工されることなく、
小さな規模のまま同様に不特定多数の個人が持つ小さなニーズにマッチングされます。
サービスはパッケージ化されていませんので、
個人は不必要なサービスがくっついていない自らが必要なサービスだけを
必要な時に必要最小限利用することができます。
保有モデルでは企業が資産を保有加工する能力や消費者の購買力がボトルネックとなり得ます。
また、購入者にとって不必要な製品サービスは無駄となり、加工段階での無駄も生じます。
シェアリングエコノミーではマッチングプラットフォームの処理能力がボトルネックとなり得ます。
無駄はほとんど生じません。
両モデルは相互排他的なものではありません。
保有モデルを補完並列するモデルとしてシェアリングエコノミーを進展させることで
地域・社会に流通する資源や価値が増大します。
貸主は遊休資産の活用により収入を獲得し、貸主は所有することなく必要な資源を利用できます。
その結果、域内での経済活動が活発化し、地域・社会全体の富が増大します。
インターネットを介していますが、シェアリングエコノミーは全国規模でのみ展開されるものではありません。
多くのサービスはその地域地域で提供消費されますので、
シェアサービス事業は地域が必要としているサービスを地域で提供する地産地消型モデルにこそ適しています。
地域を良く知る中小企業にとって魅力的な事業機会となり得ます。