人手不足が急速に進む中、
とりわけ中小企業にとっては人手不足が事業拡大の制約となるだけでなく
既存事業を維持する上でも懸念材料となっています。
2017年度中小企業白書でも人手不足は大きなトピックとして取り上げられています。
その中で紹介されていた株式会社喜久屋さまの取り組み事例が大変興味深いものでしたので
こちらでご紹介します。
喜久屋さまは創業60年を超える東京都内の中核事業事業者さまで
クリニーングを中核事業とされています。
従業員200名のうち158名がパートタイム従業員です。
パートタイム従業員の大半は女性であり、年代は20代から70代までと幅広く
業務の幅も作業、事務、配送ドライバーと多岐に渡っています。
① パートタイム従業員の高い定着率
1)パートタイム従業員の平均勤続年数は10年(長い)
2)勤続20年以上が11名
3)勤続30年超2名
② 高い定着率の背景
1)業務平準化を図る生産体制の工夫
・ 多工程・多台持ちの仕組みの導入
一人の従業員が複数の業務や機械操作を担当
→ 突発休への対応が可能
・ 生産量平準化の工夫
受注後の納期(クリーニングの出来上がり日)を一律に3日にせず
顧客が選択する形態とし期日の集中を回避
・ 生産計画との連動
平準化業務を生産計画に落とし込み、先行作業などが可能に
学校行事などでパート従業員が多く休む場合でも円滑な業務運営が可能に
2)個々の事情を抱えるパートタイム従業員の働きやすさを実現する職場風土
・ 「お互い様」と言い合える雰囲気の情勢
・ 子連れ出勤を公認
社内休憩室に幼稚園・学校帰りの子供たちが遊べる場所を提供
→ 従業員同士がお互いの子供の顔まで知る関係に
3)従業員の能力向上と継続勤務のモチベーションとなる職能等級制度
・ パートタイム従業員を対象とした職能等級制度(賃金への反映)
・ パートタイム従業員への役職手当の支給、店長への登用、模範店舗での講師機会
・ 正社員転換制度(役員に昇格したパートタイム従業員も存在)
③ 効果
自社、メディアによる情報発信
・ 働きやすい職場環境づくりへの取り組みがネットや各種メディアで取り上げられる
・ 自社も求人情報などで積極的に発信
→ 募集人数に対して15倍以上の応募
経営者の役割はさまざまな意味で社員が働きやすい環境整備である
そのように考えますが、
本事例の柔軟な施策はとても勉強になります。