事業承継の事例としてM&Aによるものが紹介されています。
なるほどと感心しましたので紹介いたします。
本事例では企業名はA社として匿名になっています。
① A社概要
売上高:80億円
従業員:48名
資本金:1000万円
業容: 加工調味料製造販売業
設立:現社長(67歳)が40年前に創業
成り立ち:当初は調味料の卸売問屋、その後製品の企画・開発によるOEM事業に進出し順調に拡大
② 事業承継について
1)一人娘の娘婿:後継者としての経験を積ませるが、事業規模の拡大にともない、
親族であるから経営を任せることに疑問を抱く。
結果的には娘婿は同社を退社し後継者を辞退
2)株式評価額:毎期の安定した利益計上、純資産蓄積の厚さから評価額が高い
相続税や贈与税負担が大きく保有株式の引き継ぎが困難
③ 事業承継の目的
1)長年にわたり支えてくれた従業員の雇用維持
2)自らが築いた仕組みの永続と会社の発展
④ M&Aにより事業承継
上記1)2)に加え、3)売却先の発展を目的にM&A先を選定
1)出資を受けている取引先
老舗の同族企業→社長が起業し一から築き上げた同社とは企業風土が異なる→断念
2)主要取引先であるB社(一般消費者向け飲食店等運営)への打診
⑤ M&Aによる効果
1)B社:新たな強みの獲得
従来の強み:店舗運営のノウハウ
新たに獲得した強み:調味料製造の開発や検査体制のノウハウ、必要な技術者人材
← A社の開発技術や品質管理技術
2)A社:所有と経営の分離の実現、社員によるさらなる発展の実現機会の獲得
企業風土、強みの補完、資本の継承、当たり前のことであるとは思いますが、
整理して理解することができる事例でした。