和歌山市にある株式会社農業総合研究所さまの事例です。
① 農産物流通の従来のビジネスモデル
生産者農家⇄卸売業者⇄小売店⇄消費者
この場合、各関係者のアウトプット・インプット、機能は以下のようにまとめられます。
アウトプット | インプット | 機能・付加価値 | |
生産者農家 | 農産物 | 代金 | 生産 |
卸売事業者 | 対農家:発注 対小売店:農産物 | 農家から:農産物 小売店から:代金 | 流通 鮮度管理 売買価格値決め 代金回収 |
小売店 | 対卸売事業者:発注 対消費者:農産物 | 卸売事業者から:農産物 消費者から:代金 | 鮮度管理 販売 代金回収 |
消費者 | 対小売店:代金 | 小売店から:農産物 | 消費 |
② 同社が実現した農産物流通のビジネスモデル
生産者農家⇄集荷所・流通システムソフト⇄小売店⇄消費者
生産者農家と同社との関係は委託販売契約関係です。
受託者である同社は従来の卸売事業者が担っていた機能を以下のように代替えしています。
1)物的流通拠点として全国各地に農家が農産物を直接持ち込むことができる集荷所を配置
2)情報流基盤として全国約900のスーパーマーケットと生産者農家を繋ぐネットワークを整備
このモデルにより農家は消費者と直接つながることができます。
農家はシステムを介してこれまで得ていなかった情報をリアルタイムで受け取ることできますので
3)何をいくらで売るのかを決めることができ、
4)何をどこで売るのかを決めることができます。
本ビジネスモデルによる変化を確認すると
アウトプット | インプット | 機能・付加価値 | |
生産者農家 | 農産物 生産にまつわる物語 | 代金 消費者からのフィードバック 販売情報 | 生産物+情報 値決め 販売先決定 |
小売店 | システム・生産者:販売情報 消費者:農産物+生産情報 | 生産者農家から:農産物+生産常用 消費者から:代金 | 鮮度管理 販売:バーコード 代金回収 |
消費者 | 対小売店:代金 体生産者農家:フィードバック | 小売店から:農産物+生産情報 | 消費 フィードバック発信 |
生産者、消費者ともに受け取る価値が増大しています。
③ 同社の強みの源泉
1)ヒト: 約6000人の登録農家数、全国約900のスーパーマーケットなどの販路
2)モノ: 大手スーパーマーケット各社の規格に対応できる独自開発のバーコード発券機システム
全国に設置した集荷所
3)カネ: 東証マザーズ上場
4)情報: 農業の営業代行時代から培った農家との信頼関係
1)2)のヒト、モノが作り出しているネットワークの強さ
農業流通については不勉強ですが、
従来のモデルの中では農家は生産者というよりも
卸売事業者や大手小売事業者の外注先のような印象を覚えます。
株式会社農業総合研究所さまの取り組みにより
情報や流通の仕組みによるマーケティング支援を受け
農家が独立した製造事業者として事業を継続拡大していく機会を得ています。
とても興味深い事例です。