高齢者事業の多角化についての記事が9月23日(土)の日経新聞に掲載されていました。
大阪市に本社を置くケア21さまの事例ですが、
多角化の進め方としてとても整理されていて教科書のようでしたので
こちらで紹介します。
① 中核事業
1)訪問介護事業:高齢者の自宅を訪問する人的資源を持ちます。
ケアマネージャーなど高齢者の状態を把握できる専門人材を持ちます。
2)介護施設事業:高齢者に施設での生活を提供する施設インフラを持ちます。
② 事業課題
高齢化の進行により大阪府でも高齢者人口は増加し市場は拡大しますが、
それに反比例して公的介護保険は給付削減が強くなっていきます。
介護報酬にのみ依存しない体制づくりは重要な経営課題です。
③ 新規顧客開拓に向けた事業多角化
1)食事宅配事業
利用する経営資源:介護施設の調理設備、訪問介護人材
サービス・付加価値:介護施設の半径2キロ以内の高齢者に定食などを配達
介護スタッフの活用により宅配に高齢者との対話を付加
2)60歳以上を対象とした人材派遣・紹介事業
利用する経営資源:介護にかかる専門人材
サービス・付加価値:人手不足の中で高齢者の活用を求める企業に高齢者を派遣
初期の認知症の有無などを専門人材が事前にスクリーニングし
心身の状態を確認し、受け入れ側の企業の不安を解消
④ 既存顧客へのワンストップサービスの拡大のための事業多角化
1)葬儀事業:介護施設で亡くなる利用者の家族への葬儀サービスの提供
葬儀会社の買収により提供能力を獲得
2)不動産・車の売買仲介事業:施設入所時に資産を処分したい利用者にサービスを提供
仲介経験者を新たに雇用し提供能力を獲得
新規顧客開拓と新商品開発。とてもきれいな多角化で勉強になりました。