残業削減の目的は生産性向上です。
経営資源の総和が小さな中小企業では生産性を向上し
資源の回転率を高め成果を拡大することは大変重要です。
残業を削減した結果、アウトプット=生産高が減少する。
このような懸念は労働分配率【人件費÷(生産高ー外部調達費用)】を
定期的に確認することで払拭できるものと考えます。
残業を削減する際、利益が相反するのは会社と従業員です。
従業員が残業代を生活給として捉え、その前提で生計を組み立てるのは当たり前のことです。
どこか事大主義的な感もありますが、日本人的な滅私奉公的な価値観とも親和性が高いように思えます。
金銭的な利益と価値観の裏付けがありますので、いずれかを切りくずさなければ残業は減りません。
その際に有効な手段が、
1) 残業をしない社員への(残業代相当額程度の)報奨金の支払い
2) 賞与時の残業代削減額の分配です。
1)はノーワークノーペイの原則に反するように思えますが、
それは仕事を時間で捉える悪弊からであり、
そのことこそが残業削減の阻害要因に他ならないと考えられます。
仕事を成果として捉えれば、
同じ仕事を短い時間でしようが、長い時間でしようがその成果に変わりはありませんので
報奨金を支払うことは原則にかなっています。
ただし、1)だけでは個人プレーに偏り、成果が個人にとどまり会社全体の生産性が向上しませんので
2)の施策により管理職を含めたチームにお金を分配し、成果の拡大を図ります。
1)2)とも近年導入する企業の事例が紹介されることが増えていますが、
生産性向上、それがもたらす待遇面全般の良好な労働条件による有能な人材確保は
今後、中小企業が生き残っていくために不可欠な要件です。
残業削減を残業”代”削減として捉えると、
減らしたい側と減らされる側という対立構造が企業内に生まれます。
生産性が向上し、結果、短い時間で従来と同様以上に報酬が得られる。
生産性が向上し、結果、同じ人件費で従来と同様以上の利益が得られる。
そのような構造を施策を通して作り出すことがこれからの経営なのだと考えます。