バングラディシュでグラミーン銀行を設立し、
その後もソーシャルビジネスによる貧困解消を進めている
Muhammad Yunusさんの著書です。
考え方がとてもシンプルでわかりやすく、その行動力にも驚きます。
貧困は自然に生まれたものではなく人工的に生み出されたものである。
人工的に生み出されたものであれば、たとえ困難であっても人の手により貧困は解消できる。
ソーシャルビジネスと対立ではなく、対比されるものとして利益の極大化をその使命とする
通常の企業が置かれます。
ソーシャルビジネスでは事業により得た利益を出資者に還元せず、
事業に再投資することを繰り返し事業自体を拡大して行きます。
通常の企業では得た利益は一定の割合で投資家に配当されますが、
その企業の目的や事業活動そのものが世の中を良くするためのものであり、
それが社会に変化をもたらし貧困の解消につながるように設計されたものであれば
ソーシャルビジネスと利益極大化事業とは対立するものでは無くなります。
バングラディッシュではわずか数ドルのお金を借りた女性たちが
自分たちの生産物により高利貸しへの返済を行なっています。
ただし、生産物の金額は高利貸し自身が決めるため、
結果的には貧困は固定化され、借りての女性たちは奴隷的な処遇に置かれます。
その解消のためには数ドルのお金をその女性たちに与え
借金の返済をさせれば良いのですが、持続可能な活動としてその範囲を広げるためには
新たな銀行が必要であり、そのためにグラミーン銀行を設立なさっています。
その後も貧困の原因を断つための事業を数多くソーシャルビジネスとして創業なさっています。
本の最後にはノーベル賞受賞時の講演の原稿が収められており、
改めて力づけられます。
ワークライフバランスが言われていますが、
生計をなりたたせるためのワークにあてる時間を効率化し
世の中を良くするために行動するライフの時間を増やしていくことが
ワークライフバランスなんだとも思いました。
2017年6月22日