2017年5月21日(日) 日本経済新聞より
女性社員のキャリア継続支援の記事が掲載されていました。
ポイントは、
会社本位で本人に選択を迫るのではなく、本人本位で働き方の選択肢を会社が準備すること。
前提: 危機的な人手不足である。
企業にとっても最重要経営資源のヒトを確保できなくなる。事業の維持発展が不能となる。
このことはとりわけ中小企業には本当に切実な問題であると実感しています。
個人的には上記に加え、
女性社員は極めて有能である。誠実で職務や同僚へのロイヤリティも高い方が多い。
女性の就業者数は2700万人に上り、全就業者数の6433万人の42%を占める。
第1子出産後に半数の方が仕事を継続している。
継続するにも関わらず、仕事を数年間離れることにより以前とまったく同じ業務へと戻ることが困難となる。
本人にとっても企業にとっても双方にとって大きな損失です。
職場を離れる期間を経ても、元の職場に戻り同じ業務を継続できる状態を作ることは
本人と企業、双方にとってメリットがあります。
事例: ソニーの事例が紹介されています。
休業中の緩やかな業務継続の仕組みを作っていらっしゃいます。
育児休業、配偶者の転勤同行、介護休業をする方が希望すれば
週に1日(7.5時間)〜2日の自宅業務を認めています。対象は女性、男性社員ともです。
現在の情報通信機器を活用すれば、業務勘や職場への帰属を維持するための緩やかな業務は技術的には可能です。
給付金や手当との関係
雇用保険の育児休業給付金の支給要件は1ヶ月の就業日数が10日以下(10日超の場合80時間以下)ですから
その要件は満たします。
健康保険の出産手当金は出産の日の翌日から56日(8週間)の労務に服さなかった日に対して支給され、
出産後6週間は労務に服してはならない期間ですので、本手当上の不利益も少なくなっています。
育児休業取得時には社会保険料が本人、企業とも徴収されないこととされています。
こちらも有給、無給を問いませんので、上記の日数(時間)要件を満たした休業であれば、
双方に不利益がないこととなります。
管理職比率とキャリア継続
国内のソニーの女性管理職比率は6.3%であり、米国ソニーでは33%と大きな差があるとされています。
国内事業と海外事業との事業自体の相違はあるものの、女性社員の休業によるブランクや離職を防がなければ
管理職比率を上げることが困難であるとしています。
こちらも実感することです。上記の通り特に管理職への適性を持つ社員の確保が課題である中小企業にとって
有能で職務や同僚に忠実、かつ、コミュニケーション能力に優れた女性社員の管理職を増やすことは
事業成長に不可欠です。
休むのか、続けるのか? その二者択一を迫らない会社への変化は従業員、企業双方にメリットがあります。
復職支援
ここでは、サントリーの例が紹介されています。
妊娠、出産、育児、介護などを理由に退職する社員を対象
事前登録制で契約社員として復職、1年間の勤務が可能。特に支障がなければ正社員として登用する制度を導入
2016年の制度利用者は2013年の倍になったと報告されています。
味の素も同様の制度を導入しているとのこと。
以上ですが、人手不足は全ての企業に対する脅威であり、中小企業ほどその経営への影響は強くなります。
働く方本位で選択肢を増やすことは中小企業の人材確保に多くのプラスの影響をもたらしますし、
これからの中小企業の強みの一つになります。