障害者雇用促進法についてまとめてみました。
【 事業者の責務 】
① 障害者が有為な職業人として自立しようとする努力に協力する責務があります。
②(努力義務)障害者の能力の正当な評価、適当な雇用の場の提供、適正な雇用管理を実施し
雇用の安定を図るよう努める責務があります。
【 障害者への差別禁止事項 】
詳細はこちらです。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000082149.pdf
① 差別の要件
1)障害者であることを理由とする。
2)対象を障害者のみとする。
3)対象から障害者を除外する。
4)条件を障害者に対してのみ不利なものとする。
② 差別禁止事項
1)募集、採用
2)賃金、配置、昇降格、
3)職種変更、雇用形態変更、
4)退職勧奨、定年、解雇、労働契約更新
5)教育訓練
6)福利厚生
③ 差別に該当しない措置
1)積極的差別是正措置; 障害者を非障害者をよりも有利に取り扱う
2)合理的配慮の実施+労働能力等の適正評価→結果、非障害者と異なる扱いをする。
3)合理的配慮の実施(結果として、非障害者と異なる取り扱いとなる。)
4)障害者専用の採用選考・採用後に雇用管理上必要な範囲で障害者の障害状況を確認する。(要プライバシー配慮)
④ 募集採用時の事業者の義務
1)募集・採用時
障害者の申し出にもとづき、その障害者の障害特性に配慮した必要な措置を障害者の意向を十分に尊重し講ずる
2)採用後・雇用期間中
非障害者との均等な待遇確保、障害者である労働者の能力の有効な発揮の阻害事情の改善。
→ 障害特性に配慮した施設整備、援助など必要な措置を障害者の意向を十分に尊重し実施
3) 体制整備
障害者である労働者のからの相談に対応する義務、適切な対応のための体制整備、
その他雇用管理上必要な措置を講ずる義務
4) 免責; 事業主に過剰な負担を及ぼす場合
⑤ 合理的配慮
詳細は
http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11704000-Shokugyouanteikyokukoureishougaikoyoutaisakubu-shougaishakoyoutaisakuka/0000078976.pdf
1)合理的配慮の手続
⒈ 募集・採用時; 障害者→事業主 ー 支障となっている事情、改善希望措置内容申し出
⒉ 事業主⇄障害者 ー 合理的配慮として行う措置の話し合い
⒊ 事業主 ー 話し合いから得た障害者の意向を尊重しつつ具体的措置を検討し措置の内容を障害者に伝える
必要な措置の実施が過重な負担となると判断の場合、措置の実施不能を伝える。
2) 合理的配慮の事例
⒈ 募集・採用時
募集内容の音声化 (視覚障害)
PC・筆談面接 ( 聴覚・言語障害)
面接時の移動負担の軽減 (肢体不自由)
⒉ 採用後
拡大文字ソフト・音声ソフト等の活用(視覚障害)
PC・筆談での指示・連絡(聴覚・言語障害)
施設のバリアフリー化(手すり、スロープ) (肢体不自由)
3) 過剰な負担を判断する目安
⒈ 事業活動への影響の程度
⒉ 実現困難度
⒊ 費用・負担
⒋ 企業規模
⒌ 財務状況
⒍ 公的支援の有無
但し、当初申し出事項が過剰な負担にあたる場合でも、過剰な負担とならない範囲で合理的配慮にあたる措置を行う。
⑥ 雇用率
一般事業主 2% 50人雇用で1名
短時間労働者(週20時間以上30時間未満のパート社員の方など、障害者、非障害者共)は
1人を0.5人としてカウントします。
1) 障害者のカウント
⒈ 身体障害者
ⅰ 身体障害者手帳を保持している。
ⅱ 身体障害の程度が身体障害者障害程度等級表の1級~6級の障害である。
7級の障害を2つ以上重複している。
身体障害者等級表; http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25F03601000015.html
ⅲ 身体障害の種類
視覚障害、聴覚障害、平衡機能障害、音声・言語機能障害、そしゃく機能障害、肢体不自由、
心臓機能障害、じん臓機能障害、呼吸器機能障害、ぼうこう又は直腸機能障害、
小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害、肝臓機能障害
⒉ 知的障害者
ⅰ 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医
障害者職業センター(「知的障害者判定機関」)によって知的障害があると判定された
ⅱ 原則として、都道府県知事が発行する療育手帳又は知的障害者判定機関の判定書により
障害の確認ができる。
⒊ 精神障害者
ⅰ 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている
ⅱ 統合失調症、そううつ病又はてんかんにかかっている
以上のいずれかを満たし、症状が安定し、就労が可能な状態にある
但し、障害者雇用率の算定時にカウントできる方は1)の手帳を保持者のみとされています。
⒋ 発達障害者
ⅰ 自閉症、アスベルガー症候群その他の広汎性発達障害 、学習障害 、注意欠陥多動性障害
ⅱ その他これに類する脳機能の障害であって
その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの
以上の条件を満たす方を発達障害者として発達障害者支援法では定義づけています。
ただし、発達障害者の方は雇用率に算定の際にはカウントから除外するとされています。
以上のように、現在は何らかの障害者手帳をやそれに類する証明書をお持ちの方を
雇用率の算定時にはカウントすることとしています。
⒋ 重度障害者
また、重度障害者の場合は1人の雇用を2人とし、
短時間雇用の場合は0.5人ではなく1人としてカウントするとしています。
重度障害者の定義ですが
ⅰ 重度障害者身体障害者
身体障害者障害程度等級表の1級又は2級の障害を有する、3級の障害を2つ以上重複している
ⅱ 重度知的障害者
知的障害者判定機関により知的障害者の程度が重いと判断されている。
⑦ 障害者雇用調整金
障害者の雇用が雇用率を超えている100人超200人以下の労働者を雇用する会社には
雇用率を超える障害者1人につき、月27,000円の調整金を支給
⑧ 障害者雇用についての助成金制度
身体障害者、知的障害者を雇用する会社に管理費用や設備費用を助成
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/intro-joseikin.html
⑨ 障害者雇用納付金
1) 常用労働者300人超の会社 雇用率に不足している障害者1人につき月50,000-
2) 常用労働者100人超200人以下の会社 1人につき40,000-
各月ごとに確認
⑩ 身体障害者雇い入れ計画作成命令
雇用率を未達成企業に厚生労働大臣が命令可能
さらに、計画やその実施が不適当な場合は、是正勧告の後、対応がなければ企業名を公表
11) 支援機関
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構、障害者職業総合センター、広域障害者職業センター
地域障害者職業センター
12) 障害者雇用推進者選任の努力義務
常時雇用人数50人以上の企業に対しての努力義務
以上、まとめました。
ご参考にいただければ幸いです。