主に大企業の従業員の方を対象とする健康保険の運営主体が健康保険組合です。
その中に「特定健康保険組合」と「指定健康保険組合」という言葉があります。
この違いが語感としてどうもつかみづらいので、今回、改めて確認をしました。
特定健康保険組合
健康保険組合の中で以下の要件を満たす組合として厚生労働大臣の認可を受けたものを言います。
① 認可の要件
1) 特例退職被保険者が将来にわたり相当数見込まれること。
2) 特例退職被保険者及びその被扶養者に対する健康保険事業の実施が将来にわたり
当該健康保険組合の事業運営に支障をおよぼさないこと。
3) 保険給付及び保険料等の徴収を適切かつ確実に行うことができる 等
② 認可の効果
健康保険組合の被保険者であった退職者に対し、退職後も引き続き現役被保険者と同様の保険給付
及び保健事業を行うことができます。
③ 特徴・メリット
1) 特定健保の被保険者(特例退職被保険者)は、退職後も現役社員と同様の保険給付
及び保健事業を引き続き受けることができます。
2) ただし、特例退職被保険者の保険料は、全額自己負担です。(現役社員は会社と折半)
※ 保険料算定の基礎として用いる標準報酬月額は、当該組合の標準報酬月額と標準賞与額の平均を
合算した額の2分の1の範囲内で組合が規約で定めます。平均額は約26万2千円。
3) 健保組合にとっては、現役時代に組合の財政運営に寄与した従業員に対し、退職後、保険給付の必要性が
増える時期に還元することができます。(若い頃は 保険料負担>医療給付の受給)
企業から見ると、永年企業に貢献したOBに対して報いることができます。
4) 現役時代から退職後にかけて保険給付と保健事業を行うため、効果的な医療費適正化ができるとされています。
④ 組合数、加入者数など
1) 特定健康保険組合の組合数: 平成24年度末時点で61組合 (平成9年から減少傾向)
2) 特定健康保険組合の加入者数: 平成24年度末時点で約52万人 (近年横ばい)
3) 特定健康保険組合の70歳以上加入者数割合: 平成24年度末時点で約24% (10年前に比べ4倍以上)
⑤ 課題
徴収する保険料(その前提となる標準報酬月額)と医療給付費とのバランスが悪いこと。
今後、加入者が増加するに連れて不均衡が健康保険組合の財政上と負担を高めます。
1) 特例退職被保険者: 標準報酬月額 261,980円 < 1人当たり医療給付費 31.6万円
2) 現役の健康保険組合被保険者: 標準報酬月額 363,879円 > 1人当たり医療給付費 11.2万円
(いずれの数値も平成24年度)
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指定健康保険組合
健康保険事業の収支が均衡しない組合の中で厚生労働大臣の指定を受けた組合です。
指定健康保険組合は指定日の翌年度から3ヶ年の健全化計画を策定し、
厚生労働大臣の承認を受け、その計画に従い事業を運営する義務を負います。
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特定と指定、言葉は似通っていますが、それぞれの組合は全く異なるものです。
今朝、健康保険の勉強をしていてどうも不確かままでしたので、改めて整理して見ました。